ストレスや不安がないのに瞑想するべき?

マインドフルネス瞑想が、ストレスの軽減や不安障害の緩和、アンガーマネジメントなどの効果があることは皆さんもご存知の通りです。では、ストレスや悩みがない場合にも瞑想を取り入れるメリットはあるのでしょうか?実際にあなたが今、仕事も家庭も順風満帆で、ストレスや悩み事など全くない生活を送っているとしたら、「全部上手くいっているのに瞑想する意味あるの?」こんな疑問が湧いてくるかもしれません。
pexels-prasanth-inturi-1051838 (1)

マインドフルネス瞑想が、ストレスの軽減や不安障害の緩和、アンガーマネジメントなどの効果があることは皆さんもご存知の通りです。では、ストレスや悩みがない場合にも瞑想を取り入れるメリットはあるのでしょうか?実際にあなたが今、仕事も家庭も順風満帆で、ストレスや悩み事など全くない生活を送っているとしたら、「全部上手くいっているのに瞑想する意味あるの?」こんな疑問が湧いてくるかもしれません。

これに対する答えは「YES」です。心身の状態に関わらず、私たちは瞑想をすることで様々な恩恵を受けることができます。ここでは瞑想を “ライフスタイル” として取り入れるメリットについて紹介していきます。

マインドフルネス瞑想の効果

マインドフルネスは、病気や不調を治す単なる薬ではありません。これは皆さんが毎日行っているエクササイズのようなもので、短期的な効果と長期的な効果があります。例えば、あなたが毎日欠かさずジムに通い、汗を流す生活をしたら、目指していた理想のボディを手に入れることができます。ですが、目標を達成したからと言ってその後一切運動するのをやめてしまったらどうなりますか?せっかく苦労して手に入れた体型が、あっという間に元に戻ってしまう、なんてことがあるかもしれません。理想の体重や体型をキープするには、やはり日常的に運動を続ける必要がありますよね。瞑想も日々のエクササイズのように、あなたのライフスタイルや習慣として生活に取り入れていくことで、最大の効果を発揮します。

ですが、体重や見た目といった分かりやすい変化があるエクササイズとは違って、瞑想の効果はストレスやエネルギーレベル、感じ方の変化など、全て自分の内面で起こるものです。ですから、どうしても効果を実感しづらいところがあります。ここからは、瞑想が日常生活に与える効果を具体的に見ていきましょう。

浮遊する脳:脳と免疫システムのクロストーク

1980年代の脳科学研究で、免疫システムに関する興味深い発見がなされました。それまで脳と免疫システムはそれぞれ独立していると考えられていましたが、驚くべきことに、脳から身体への指令を伝達する神経細胞は免疫細胞にも作用していたのです。これは、脳が私たちの思考や感情、感覚などのシグナルを発信する際、その情報が免疫細胞にも送られるということです。つまり、私たちの免疫システムと脳は密に相互作用していて、私たちはその両方から多大な影響を受けているということになります。このことから、科学者たちは免疫システムを “浮遊する脳” とも呼んでいます。

私たちの感情が免疫システムに影響を与えるということは、言い換えれば、免疫システムと脳の最高司令官である前頭葉、感情を司る海馬などが強く結びついているということです。これに対し、2014年発行の『Psychosomatic Medicine』誌に掲載されている研究では、マインドフルネス瞑想がこれらの部分に直接刺激を与えていることも明らかになりました。マサチューセッツ大学のジョン・カバットジン博士らの研究では、8週間マインドフルネス瞑想を実践したグループAと、実践していないグループBでインフルエンザ抗体価を測定したところ、グループAの被験者は統計的に高い免疫力を持っていました。瞑想によって “浮遊する脳” である免疫システムが鍛えられたことで、顕著に抗体価の上昇がみられたのです。

ダイエットと瞑想

免疫力が高まるという効果に加え、瞑想は健康的なダイエットにも効果があると言われています。2011年に行われた実験では、数日間マインドフルネス瞑想を実践した被験者は、ストレスがもととなって引き起こされる暴飲暴食が減り、その後も健康的な食生活を送れるようになりました。また、瞑想をすることによってゆっくりと一口一口味わって食べる “マインドフルな食事” が促されたことも、結果的に被験者の過食を防ぐ大きな要因となったのです。

集中力の向上

マインドフルネス瞑想が、集中力を高めることはよく知られていますね。しかし、このメリットが繰り返し強調されるのには理由があります。特に、インターネットなど膨大な情報が溢れるこの現代では、集中力の持続は私たちにとって大きな課題です。そのため、マインドフルネス瞑想と集中力、そしてその持続時間の関係性に関する研究が盛んに進められてきました。例えば、2010年にアメリカ、ウェイクフォレスト大学のファデル・ ツァイダン博士、ノースカロライナ大学スーザン・K ・ジョンソン博士らが行った研究によると、20分の瞑想を4日間行うことで、集中力を最大50%もアップできるほか、短期記憶を司り作業効率を上げるワーキングメモリーの機能も高まることが証明されています。

年齢や人種の偏見をなくす

少し意外かもしれませんが、マインドフルネス瞑想が与えるポジティブな影響として挙げられるのが、グループや個人レベルでの人種や年齢に対する偏見が減るということです。私たち人間はもともと、バイアスや先入観を持っています。いいか悪いかは別として、これは生き残るための動物的本能なのです。例えば、皆さん食べ物の好き嫌いがありますよね。これは「偏食」という言葉からもわかるように、食べ物に対する個人の偏見です。しかし偏見の中には、人種差別のように社会の中で代々受け継がれ、人間が傷つけ合う原因となってしまうような有害なものあります。マインドフルネス瞑想は、共に生きる仲間としての共感・理解・思いやりの心といったものを育み、人種や年齢など、私たちにマイナスな影響を及ぼす差別的概念を打ち破る効果的な方法なのです。

2015年にセントラル・ミシガン大学にて行われた研究では、10分間のマインドフルネス瞑想を行ったグループは、行わなかったグループと比べ、人種と年齢に関する潜在的連想テスト(IAT)で偏見の度合いが少ないという結果が出ました。これは、潜在的な偏見が減ったため、そこから無意識に生まれる “ネガティブな連想” が発動しなかったためです。また、被験者は瞑想をすることによって、年齢や人種に関係なく、以前よりも見ず知らずの人に対する信頼レベルが向上したというデータも出ています。

ボディポジティビティ

もう一つ、マインドフルネス瞑想の驚くべき効果は、私たちが自分自身に持っているボディイメージの改善です。あなたは毎日の生活のなかで、自分の体や見た目に満足できない、自信がないという経験をしたことはありませんか?こういった自分に対するマイナスなボディイメージが自己否定に繋がって、フラストレーションを溜める要因となっています。この問題に対して、カレン・E・ディルーシャックルホールド、クリスティン・D・デフ、エレン・R・アルバートン博士らは、被験者に1週間のセルフコンパッション(自分に思いやりの心を持つ)瞑想のトレーニングをしました。すると1週間後驚くことに、彼らが持っていた自分の体への否定意識が減少し始めたのです。ルックスへの不満が解消され、自己肯定感が高まったたことで、さらに自分に対する思いやりの心が育まれました。マインドフルネス瞑想が、ボディポジティビティに繋がるということが実証されたのです。

瞑想は自分へのプレゼント

私たちは、毎日行っている小さな習慣が沢山あります。歯を磨く、ご飯を食べる、運動をする、シャワーを浴びる、スキンケアをする…こういったものは皆さんのなかで “毎日のルーティン” だと認識されているはずです。マインドフルネス瞑想も、心と体の健康を維持するための大切な「習慣」へと変えていくことで、あなたの生活はさらに豊かになります。毎日頑張っている自分に感謝の気持ちを込めて、瞑想をライフスタイルの1つとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

コメントを残す