自分のニーズを満たすために必要なものを知ること、それは私たちの健康や恋愛関係を維持する上で欠かせない重要な要素です。自分に何が必要で、それをどのように手に入れるかを知ることで、私たちは自分自身や他者との関係を育むことができるのです。
パートナーといい関係を保つには、毎日の生活の中で「共に過ごす」時間が必要です。パートナーと二人きりで過ごすことで、相手を愛しむ感情が生まれるのです。
しかしながら、そうとわかっていても、私たちはついつい日々の忙しさにかまけて、自分自身や、大切な人との関係の重要性を忘れてしまうことがあります。エネルギーや時間の大部分を、無意識のうちに仕事や家事、やることリストといったものに費やしています。だんだんとストレスや疲労に押しつぶされて、私たちの内面を満たすリソースがどこから来るかを見失ってしまうのです。
「今週もあっという間に過ぎてしまった…」「パートナーと一緒にやりたいことをする時間がない…」「大切な人と会話をする時間がない…」「毎日、疲れていて何もする気が起きない…」といった台詞を反射的に頭の中で繰り返していることはありませんか?このような言葉が繰り返し頭に浮かんだり、いつも口をついて出てきたりする人は、日常生活へのアプローチを少し変えてみるといいかもしれません。
まずは、自分の私生活と、外の世界から求められるもの、この二つのバランスを整えてみましょう。境界線を見直すことで、ネガティブなパターンから抜け出し、自分らしく生きられる力を取り戻すことができます。何もかも完璧にこなそうとすることをやめて、物事の優先順位を決めてください。そして、その中で自分自身やパートナーとの関係がどの順位に置かれるべきか考えます。無意識に取っていた行動からも一旦離れて、本当に自分が必要としているもの、自分が感じていることに気付いてみましょう。周囲の条件に引きずられる受け身な姿勢から、自主的・積極的に自分で人生を切り開く姿勢へと変わっていくはずです。すぐにできるようにはならないかもしれませんが、ゆっくりと時間をかけながら練習を積んでいきましょう。自分の外と内の線引きがうまくできるようになると、自然と正しい方向へ進んでいけます。
パートナーとのコミュニケーションの質は、そのまま恋愛関係の質を物語ります。次の質問について考えてみてください。
「パートナーはあなたのことを十分に理解していると感じますか?」
「パートナーと感情を共有しようと思いますか?」
「パートナーがあなたの話に興味を持っていると感じますか?」
「パートナーはあなたの話を聞いてくれますか?」
言葉を交わしたい、自分の気持ちや必要としているものを共有したいという意欲は、一方的に生まれるものではありません。人は、相手が自分のことを大切に思ってくれている、自分の経験や話に興味を持ってくれていると感じたときに初めて、相手と感情をシェアしたいと思います。先ほどの質問について考えてみると、パートナーとの関係の中で自分のニーズをどのように伝えることができるか、何を変える必要があるか、といったヒントが見えてくるはずです。
パートナーに気持ちを伝えることができない、パートナーからの思いやりが足りない、もしくはあなたがパートナーに対する関心を失っていると感じる場合は、何らかの理由で「共有チャネル」がうまく機能していない可能性があります。これは本来、親密で健全な恋愛関係を維持する上で最も重要な基盤として機能するものです。自分の感情を相手と共有したくないという心理状態は、あなたとパートナーが単に「うまくいっていない」だけのように見えるかもしれませんが、逆にあなたが本当に必要としていることを見つける手がかりにもなります。自分が抱いている感情を見つめることで、障害となっているものを無視するのではなく、解決策を見つけ、状況の改善に取り組むことができるのです。
人間関係には、さまざまな理由によって障害が生まれます。あらゆる関係にはそれぞれ独自のかたちや条件があります。だからこそ、これまでの経緯や二人の状況を考慮に入れながらパートナーとの関係を見つめなおすことが大切なのです。
ここで、さらにいくつかの問いを考えてみましょう。今度は、パートナーとの関係について、現時点であなたがどのように感じているのか理解を深めます。
「どれぐらい前から、パートナーと感情を共有したくない、しづらいと感じていますか?」
「どれぐらい前から、パートナーが自分を理解していない、自分に関心がないと感じていますか?」
「どのような状況下で、こういった感情が生まれますか?」
「パートナーはあなたが抱いている気持ちや感情を知っていますか?」
「パートナーはこの問題をどのように感じていますか?」
「あなたと同じような感覚や感情を抱いているでしょうか?」
「その場合、パートナーはその感情をどのように説明していますか?」
人間関係においては、行動そのものよりも、それを行ったタイミングや、それまでの経緯や状況の方が大きな影響力を持ちます。私たちの仕事や家族、健康状態、過去のつらい体験も、私たちの日常生活にさまざまな形で影響を及ぼす可能性があります。
「こういった要因はあなたの人間関係にどのように影響していますか?」
「こういった要因が、あなたが人との距離を縮められない理由になっていませんか?」
「 もしそうなら、こういった要因が、あなたの人間関係の障害にならないために、どうすればよいでしょうか?」
「この問題を解決する糸口はどこにあると思いますか?」
このような問いは、恨みや絶望、怒りなどといった強い感情の元となる要因を理解するのに役立ちます。感情は強く激しいものであるほどその根は深く、私たちの自己防衛反応を引き起こすことがあります。
こうしたマイナス感情の原因を探し出し、その解決策を見つけることが、安定した恋愛関係を築く上でとても大切です。相手から自分への思いやりや愛情を再確認できれば、パートナーを思いやる気持ちが生まれ、人生を共有する意欲が沸いてきます。さらに相手への疑いや不安が消え、信頼も回復していきます。こうしてだんだんと、安心感と信頼感を持ってパートナーとの関係を楽しむことができるようになるのです。このような雰囲気になれば、お互いに人生や自分の感情をシェアするのは「喜び」に変わります。
「恋人なのだから〜しなければ」という義務感を抱くことなく、会話をしたり、自分を表現したり、相手の話に耳を傾けたり、純粋にパートナーと過ごす時間を楽しめたらどうですか?互いに心で通じ合い、一緒に旅をしたり、大好きな音楽に合わせて踊ったり、映画を見たり、ゲームをしたりできるとしたらどうですか?驚きと興奮に溢れた二人の時間を想像してみてください。
セルフケアで自分の心身を整えるのと同じように、人間関係にもケアが必要です。恋愛関係のケアを考えるとき、相手と一緒にいたいという感情がどこからくるのかを見極め、その源 を維持することが重要になります。今日、あなたはどのように二人の愛をケアしますか?