パートナーとの健全な関係を築く上では、安心感を持てるかどうかが鍵となります。二人の関係が幸せで安定していれば、お互いの心身の健康にもよい影響を与えます。安心感は人生の満足度を高める基本的要素の一つです。関係をさらに良好なものにしてくれるだけでなく、困難に直面したときの支えにもなってくれるでしょう。ありのままの自分を愛してくれる人、自分と共に人生を歩みたいと望んでくれる人、抱えているトラウマに寄り添ってくれる人、このようなパートナーに出会うと、自然と相手に対しても同じ感情が芽生えてきます。相手のことを思いやり、大変な状況でも支えになりたいと思うのです。
健全な恋愛関係を築けている時、私たちはいつもなすがまま、自分らしくいられます。安心感があることによって心に余裕が生まれるので、仕事や子育て、人間関係など、恋愛以外の面でも力を発揮することができるようになります。
しかし、どんなに良好な恋愛関係も時には揺れたり、残念ながら終わりを迎えてしまったりすることもあるでしょう。時間の経過とともに環境の変化やすれ違いは起こり得ます。些細な誤解から、取り返しのつかないミスコミュニケーションに発展することもあります。こうした悪循環にはまってしまうと、恋愛関係はもはや心安らぐ安全な場所だとは思えなくなってしまいます。それまで共に育まれてきた愛情や思いやりは、だんだんと不安や悩みなどネガティブな感情に変わってしまうことがあります。
誰にでもパートナーとの心の距離を感じたり、相手を不快に感じたりすることはあります。恋愛には万能な攻略法や、完璧なカップルになるための方程式などはありません。完璧なカップルになることを期待すれば、自分もパートナーも追い詰めてしまうでしょう。「今、この瞬間」にあるつながりを共有し、そこにピントを合わせることで、お互いの大切さが見えてきます。コミュニケーションを取りながら、共に障害を取り除いていくことができれば、関係の修復も可能です。
お互いに安心しあえる恋愛関係を維持するために、まずは自分のニーズを意識的に伝える練習をしましょう。忙しい毎日のなかで、目先のタスクや課題に意識を奪われると、「今、この瞬間」をパートナーと過ごす喜びや大切さを忘れてしまうことがあります。
人と付き合う上では、相手から愛され、理解されていると感じること、そしてお互いに愛情を持って、相手に接することが大切です。このような「愛し、愛される」関係性から、安心感が生まれます。お互いに果たすべき義務や役割分担など、個別に持っているニーズはそれぞれ違うはずです。自分のニーズを理解し、それを相手とシェアすることで、二人の妥協点を探すことができます。たとえば、次のような質問をお互いに投げかけてみましょう。
「今日はどんな気持ち?」
「何をしたら、お互いの心の距離が縮まるかな?」
「こうすればもっと良くなるのに、と思うところはある?」
こうした質問をすることで、新たな視点からお互いを観察することができるので、いつもと違う一面に気づくきっかけにもなります。
パートナーに助けを求めることは、気持ちをシェアするのと同じことです。ストレスや不安、疲れを感じているとき、自分のフラストレーションや思いを共有するだけで、心のつかえがとれていきます。心から信頼できるパートナーの存在はとても心強いものです。支え合うことで、信頼と絆は深まっていきます。パートナーが自分の問題を解決してくれるというだけではなく、相手の話に興味を持ち、耳を傾け、理解しようとする態度が二人の信頼をも底上げしてくれるのです。
そして、これと同じくらい、自分から助けを求め、発信することも重要になります。躊躇なく助けを求められる人もいれば、助けを求めることで相手の負担になると感じたり、拒否されると決めつけたりして、なかなか自分から言い出せない人もいるでしょう。これは、なんでも一人で乗り越えなくてはいけないと思い込んでいる完璧主義なタイプに多く見られるものです。恥ずかしさやプライドなどから、パートナーを避けてしまうのです。
こんな時はまず、「自分が何を恐れているのか」「助けを求めることができないのはなぜなのか」と自分に問いかけてみるといいでしょう。インナーワークをすると、根本的な原因を突き止め、無駄なエネルギー消費を防ぐことができます。何がわからないのかがわからない、という状況を打開して、パートナーに打ち明けてみてください。
パートナーとの対立や衝突を受け入れることも、健全な恋愛関係へとつながります。恋人とはいえ別の人間ですから、時に反対意見を持ったり、言い合いをしたり、お互いの気持ちを傷つけ合うこともあるでしょう。これは心の距離が近ければ、必ず起こります。理解してもらえなかったり、怒りを感じたりすることも時にはあっていいのです。もちろん、やりすぎはいけないし、暴力的な行動パターンは避ける必要があります。しかし、建設的なぶつかり合いであれば、それは関係を終わらせる理由にも、二人がうまくいかない証明にもなりません。実はパートナーとの対立を上手く切り抜けることで、カップルとしての相性や、関係性の成熟度などが見えてきます。
不満があるときこそ、それを上手く伝えられるようになりましょう。時には一人になれる時間を作って、心を落ち着かせることも大切です。攻撃的になることなく、怒りや不安について伝えるために、個々のニーズを伝え合ってください。相手との衝突から新たな欲求が生まれることもありますが、大丈夫です。オープンに「自分はどうしてほしいか」を伝えることで、ミスコミュニケーションは防げます。そして困難を一緒に乗り越え、互いに納得できる落とし所を探っていけます。
ストレスを感じているときこそ感情を受け入れて、自分を落ち着かせることです。それだけで対立や衝突は関係を壊すものではなくなります。
恋愛関係は、自分と相手、それぞれの領域が重なり合った部分に成り立っています。自分とパートナーの性格や価値観、これまでの歴史や経験が異なるように、二人の関係そのものには二人の違いから形成されています。いわば、こうした違いこそが関係性に深みをもたらしてくれる要素なのです。価値観が違うから合わない、と早合点するのはもったいないです。私たちの行動や振る舞いによって、関係性は変わっていきます。安心と幸せに満ちた関係を築くために、あなたが続けるべきこと、変えるべきこと、やめるべき行動は何でしょう?「私は安全で、幸せな場所にいる」と胸を張って言える関係とはどんなものですか?今の恋愛が自分にとってプラスであり、この関係を続けたいと望んでいるのであれば、パートナーと一緒に成長の可能性を探ってみましょう。自分自身の成長、カップルとしての成長、可能性は無限にあります。