マインドフルネス瞑想の効果を最大限に享受するための鍵は、継続と一貫性にあります。今まで私たちが生活の中で身につけてきた様々な習慣と同様に、瞑想を日常生活に取り入れて、習慣化するには、それなりの努力が必要です。しかし、皆さんもご存知のとおり、新しい習慣を始めることは、思ったよりも大変ですね。最初は、特に苦労するものです。なぜ、新しい習慣を身につけようとしたり、習慣を変えようとしたりするのは難しいのでしょうか。
習慣とは、ある一定の行いを、長い期間繰り返した結果、その行いが日常の一部になることを指します。習慣は規則的なものほど、崩しにくくなるのです。習慣になる行いは無数に存在します。例えば、毎朝のコーヒーや昼食後の一服、終業後や夕食後のテレビ時間など、習慣は良い悪いにかかわらず、私たちの日常の一部となっています。習慣は多種多様です。しかし、全ての習慣は次に説明する3つのステージで構成されます:「キューとなる行為(合図)」、「ルーティン」、「報酬」。
劇場や舞台の台本を読んだことがある方は、次のフレーズを目にしたことがあるかもしれません。ライトのキュー、音楽のキュー。キューとは、実行するアクションの「合図」という意味です。たとえば、朝にコーヒーを飲む習慣がある方は、コーヒーメーカーの電源を入れる動作が習慣の合図になったり、昼食後の一服をする人は、一服の時に一緒に飲むコーヒーを注文する動作が合図になっているのかもしれません。習慣の合図となる行動が何であれ、いつもの習慣を観察してみると、ほとんどの場合、習慣は、キューとなる行動から始まることがよくあります。
ルーティンとはある合図を受けて、私たちが自動的に行う動作です。例えば、舞台の役者さんを思い浮かべてみてください。照明が照らされた瞬間、役者は舞台のどの位置に立って、どんな身振りで何のセリフを言うか、反射的に判断して役を演じます。照明が着いた瞬間、稽古とは全く違う役割を演じるなんてことはありません。
ここで言う報酬とは、私たちが習慣と呼ばれる行動により得られる楽しみ、または一時的な修正です。私たちは必ずしもその習慣をすることで喜びを感じたり、満足したりするわけではありませんが、基本的に一定の満足感を享受します。例えば、毎朝コーヒーなら、コーヒーの香りや味わい、また食後の一服なら、一服目に感じるストレスから一瞬だけ解放されたような爽快感などです。習慣になっていることを行うことで得られる喜びや満足感も人によって多様です。
これまでの習慣を変えたり、瞑想のような新しい習慣を、日常生活に取り入れようとする時、今までの習慣を変えることは容易ではありません。意識的な努力が必要となります。私たちの心と体が新しいルーティーン(習慣)とキュー(合図となる行動)とのつながりを形成するまで、新しい習慣を一貫して毎日の生活に積極的に取り入れければなりません。ある決まった合図となる行動の後に、マインドフル瞑想のルーティンをするという一連の行動を繰り返すほど、その合図と瞑想ルーティンのつながりが強くなり、習慣化されやすくなります。
ある習慣をやめたい場合、今のルーティン(習慣)を別のルーティンに置き換えると良いでしょう。たとえば、朝にコーヒーを飲む習慣をやめたい場合、毎朝のルーティン全体を変えることから始めてみるのをお勧めします。朝起きてすぐにコーヒーマシンの電源を入れる代わりに、お茶をいれるためのお湯を沸かすという行動に置き換えてみてください。この場合は、朝のコーヒーというルーティンのきっかけ(合図)となる行為つまり、コーヒーマシンの電源を入れるという動作をやめることで、コーヒーを飲むというルーティンから離れることができるのです。さらに、ほとんどの場合、コーヒーの代わりにお茶を飲むなど、これまでの習慣を、別の行動に置き換えれば、既存の習慣をだんだんと壊していくことができます。他にもいくつかの例を挙げてみます。毎晩、お酒やビールなどのアルコールを飲む代わりに、アルコールフリーのカクテルを作ってみる、就寝前にスマートフォンをチェックする代わりに、本や雑誌を読んでみる、スナック菓子やチョコレートを食べる代わりに、ダークチョコレートとフルーツを食べてみるといったように、やめたい習慣を別の行動に置き換えてみましょう。こういった小さな変化が、時が経つにつれ、習慣化されます。
皆さんは、新しい習慣の形成には21日間かかる、と聞いたことがありますか?習慣化の話でよく聞く21日というは絶対正しいという訳ではありません。例えば、朝食をとる前にコップ一杯の水を飲むという新しい習慣を取り入れるのに21日で成功したというケースは何件もあります。また、習慣化するのに21日間以上の時間がかかるケースも多くあります。ロンドン大学が行った最近の調査では、習慣の変化や形成には、最大66日かかることもあるというデータも出ています。習慣化について、このような差は、どこから生まれるのでしょうか?それは、ある習慣は他の習慣よりも、やめたり、始めたりするのが難しいためです。さらに、私たちには、慣れ親しんだことをやめて新しいことを始めることに対して、遺伝的に抵抗があり他の人よりも習慣の形成が難しく時間がかかるというケースもあるのです。したがって、私たちが生活習慣を変えようとするときは、気長に向き合うことが大切です。もし、やめようとしている習慣や新しく取り入れようとしている習慣ができなくても、自分を責めて自暴自棄になるのではなく、いったん立ち止まってなぜできなかったのか、なぜ昔の習慣に戻ってしまったのか理由を考えてみてください。例えば、お菓子を食べすぎてしまった場合、自分を責めるのではなく、その時どんな感情だったのか、どんな状況で食べすぎたのかを自問してみてください。 2週間の禁煙チャレンジ後に再びタバコを吸ってしまった場合、新しくタバコを購入してしまった時の感情や気分を振り返ってみてください。新しい習慣を身につけようとしたり、既存の習慣を変えようとしている中で、失敗したり、うまくいかなかったからといって、その習慣が身についていないわけではありません。思い出してみてください。私たちが子供だった頃、何度も転んでは起き上がり、失敗を繰り返しながら歩けるようになりました。焦らずに気長に自分と向き合えば、いつか必ず新しい習慣を身に着けることができます。
人には誰しも自分を変えたい願望を抱きます。今までに、やめたかった行動をやめて、新しい習慣を取り入れることに成功した人や、まさに今新しい習慣を身につけようと努力している人も多いでしょう。私たちは、人生を通じて習慣を変更したりやめたりして、新しい習慣を取り入れる作業を行っています。赤ん坊の時に身に付けていたおむつから下着へ、哺乳瓶からコップへ、学校生活から社会人生活への切り替えなど、多くの変化を経験します。家族を持つことを決心した場合、さらに多くの変化や妥協が必要となるでしょう。私たちは、ライフステージに応じて、知らぬ間に習慣を変えたり、身につけたりします。しかしながら、多くの場合、習慣の変化は、環境の変化に大きく依存します。
そこで、自分の意思で自分自身に挑戦してみてはいかがでしょうか。あなたが変えたいと思っているある習慣を一つイメージしてください。そして、その習慣を変えずにいる場合、将来の「あなた」がどのようであるかをイメージしてみます。次に、この習慣を変えた場合、生活や日常生活はどのように変わるかイメージをしてみましょう。あなたが変えたいと願っている習慣とそこに置き換えたい習慣は何ですか?習慣を変えるために、変えたい習慣を紙に書き、習慣のキュー(合図)となる場所やものに、そのメモを置いてみることも役に立ちます。例えば、ジャンクフードを食べるのをやめたい場合、紙を冷蔵庫や戸棚の近くに置いたり、喫煙をやめたい場合はパソコンの画面や財布に紙を貼る、また、就寝前にスマートフォンを見る習慣を変えたい場合はベッドの横にその紙を置きます。あなたはこの習慣を変えることができた時、努力した自分を褒めて感謝するでしょう。
メディトピアでは、習慣を変えたり、新しい習慣を取り入れたりするのに、役立つ方法についてのコメントやフィードバックをお待ちしています。マインドフルネス瞑想が、習慣を変えるのに役に立ったなど、ぜひあなたの体験をシェアしてください。