リラックスできる呼吸法5選

リラックスと呼吸に深い関係があることを知っている人は、たくさんいるでしょう。この2つにはいったい、どんな特別な関係があるのでしょうか?正しい呼吸法とリラックス方法は誰にでも簡単に身につけられるものです。リラックスが上手くなる方法をこの記事で詳しく説明します。日常生活にすぐに取り入れられるものばかりですよ!
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リラックスできる呼吸法5選

はじめに

すべての生物はそれぞれの環境条件に適応するように生きています。私たち人間も、あらゆる場面で遭遇する出来事すべてに、特有なやり方で適応しています。ストレスを感じるとそれが身体面に表れて、健康状態に大きな影響を及ぼすことがあります。癒しを求める時、私たちは精神の安定に加えて、ホルモンと神経にストレスの負担がない状態を求めます。ストレスを抱えていると、筋肉や骨にも影響が出ます。例えば痛みや悩み、不安などを感じている時、関節や腱に痛みを感じることもあるでしょう。この記事では、ストレスのない生活を送るために効果的な呼吸法の実践方法を紹介します。呼吸のやり方を変えることに効果があるのはなぜでしょう?そのためには呼吸をコントロールしなくてはいけないのでしょうか?答えを一緒に探ってみましょう!

リラックスすることの本当の意味とはなんでしょうか?まずはその反対の状態であるストレスという言葉の意味から考えましょう。ストレスという言葉は圧力や物体にかかる張力と定義されています。例えば、子ども用の粘土は力を加えると、形が変わりますね。私たち人間には、適応性が備わっています。動きながら、形を変えて、変化する生き物です。私たちはさまざまなストレスを経験して、向き合い方も変化します。課題やプロジェクトをなんとか終わらせることで、ストレスが軽減することがあります。あるいは負担が大きすぎて、助けを求めることもあります。私たちの身体の中で大切な役割を担っている神経は、体の反応を作り出し、安定させて、外の世界に送り出すのが仕事です。大変な時にこそ役立つ、ストレス反応を安定させる方法を学びましょう。


私たちの身体機能には、呼吸の仕方が大きく影響します。呼吸を見ればすぐに身体の健康状態を知ることができます。危険やリスクを認識すると、呼吸のパターンが変化します。呼吸が速くなったり、浅くなったりするでしょう。不安な気持ちが神経に伝わっていることになります。安定した呼吸の時は、不安もなく安全な状態だと神経が判断してます。呼吸を整えることで、神経を落ち着かせ、心を穏やかな状態を保つことができるのです。

さて、呼吸が私たちの身体の働きや考え方や感情に与える大きな影響を理解したところで、呼吸の仕方を詳しく学んでいきましょう。


自然呼吸

いくつかの呼吸法を紹介しましょう。まずは最も効果のある呼吸の仕方を知るところから始めましょう。効果的な呼吸を身につけることは、この後に紹介する呼吸法の練習を正しく行うためにとても重要です。特別な場合を除いて、呼吸はいつも鼻で行いましょう。私たちの鼻は吐く息と吸う息に適度な湿度を与えるほか、フィルターのような役割も果たしています。肺の外側の空気は乾いていて、ホコリや細菌、花粉などの異物だらけです。鼻の中にある粘液層の働きで詰まりを避けて、感染症のリスクを防いでいます。呼吸法の実践やマインドフルネス呼吸法を行うことで、空気の通り道を清潔に健康に保ち、不快な症状やアレルギー反応などを緩和させる効果が期待できます。

呼吸を行う時に2番目に大切な身体器官は横隔膜です。「横隔膜呼吸」という言葉がよく使われますが、これは誤解を招く言い方です。横隔膜は私たちが呼吸をする時に常に動いています。胸郭と腹部を隔てているのが横隔膜です。したがって、肺に空気が入っている時は、横隔膜は下に広がり腹筋を押して横に広がっています。意識的に肺の下の部分を使って息を深く吸うと、胸ではなくお腹が膨らむはずです。肺の下の部分を使って行う呼吸は俗に言う「横隔膜呼吸」ですが、空気の通り道は同じです。具体的な練習方法の説明に入る前に、肺と呼吸筋をより意識して呼吸ができる方法も紹介します。


胃が空っぽの状態で、仰向けになりお腹の力を意識的に抜きます。お腹、助骨、胸骨と繋がっている感覚をイメージしてみてください。おへその辺りに意識を向けながら、腹筋のあたりに力が入っているかを確認します。指でお腹を簡単に押すことができますか?硬いお腹は、ストレスが溜まっているサインです。人間は危険を感じると、内臓器官を守るために身体がこわばって縮こまってしまいます。身体に力が入ってしまうことはよくあります。まずは、お腹の筋肉をほぐすところから始めてみましょう。誰かが自分のお腹にパンチしようとしているところをイメージしながら、お腹に力を入れてから、すばやく力を抜きましょう。この動きを何度か繰り返して、お腹の中を広げて、空気が入るスペースを確保します。コントロールしようとせず、自然にお腹に空気が入ったり出たりする感覚をつかみましょう。お腹の力を抜くことは、安全な状態にいるということを神経に伝えているということ。神経が落ち着くと、身体も、脳も心も落ち着かせることができます。

次に、身体と地面が接触する表面の感覚を意識してください。何か変化を感じますか?身体の重さを感じますか?それとも、身体が触れる場所のほうを強く感じますか?最後に、身体を起こして、両手を脇の下のあばら骨の両側に置きます。お腹に力を入れずに、両手を外側に押しながら、胸郭を広げるようにして息を吸ってみてください。これが普段の自然に行う呼吸で意識してほしい動きです。あばら骨の付近にある小さな筋肉を使わないでいると、こわばってしまい、やがては動かなくり、深い呼吸ができなくなってしまいます。毎日練習することで、正しい呼吸の仕方が少しずつ身についてくるでしょう。それでは、いくつかの呼吸法を説明します。


リラックス効果のある呼吸法

口すぼめ呼吸

口すぼめ呼吸は簡単にできる楽しい呼吸法です。毎日の生活の中で、慌ただしく感じたり、呼吸が速くなったりすることがあると思います。この呼吸法を練習するには、吐く息と吸う息の長さを伸ばすことです。ゆっくりと深い呼吸をすることで、肺に入る空気の量を増やし、血圧を下げて、心を落ち着かせることができます。

この呼吸法は、居心地のいい場所で座って行ってください。首と肩、アゴの力を抜き、口を閉じた状態で鼻から息を吸います。それから、風船に膨らませるようなイメージで、口をとがらせ、そのままゆっくり息を吐きます。口をすぼめることで、吐く息の量を制限し、それにより息の流れが自然に遅くなります。正しいやり方を身につけるために、慣れるまでこの動きを4回から5回ほど連続して行ってください。毎日繰り返し練習し、少しずつ回数を増やしてみてください。続けて行うことで、それが習慣になり、さらに神経質になっている時など、その状況を乗り切りたいときにも効果があります。練習を続けるコツは、毎日同じ時間に行うことです。

口すぼめ呼吸


ボックス呼吸法

ボックス呼吸法とは、心を落ち着かせることができる効果的な呼吸コントロール法です。ボックス呼吸法と呼ばれるのは、同じカウントで息を吸って吐き、ボックスを描くように呼吸をするからです。4秒間で息を吸って、4秒間息を止め、4秒間で息を吐き、また4秒間息を止めます。ここでは少し違うやり方を説明します。この呼吸法への理解がさらに深まるはずです。最初は少し難しいと感じるかもしれませんが、大丈夫!パターンが分かれば、とても簡単にできる呼吸法です。

【基本バージョン】

  1. 息を完全に吐いた後、4秒数えながらゆっくり息を吸います。
  2. 息を4秒間止めます。
  3. 4秒数えながらゆっくり息を吐きます。
  4. 息を4秒間止めます。

呼吸のサイクルを以下のようにイメージしましょう。

吸う

このサイクルを4~5回ほど繰り返します。その時、自分の身体にどんな変化があるのか観察してみてください。回数は自分に合うように調節してください。

次に紹介するのはボックス呼吸法の別バージョンです。以下の手順を参考にしてください。

  1. 息を完全に吐いた後、4秒で息を吸って、4秒で息を吐きます。これを3回繰り返します。
  2. その後、4秒で息を吸って、4秒間息を止め、4秒で息を吐きます。これをまた3回繰り返します。
  3. 4秒で息を吸って、その後すぐに4秒で息を吐き、その後で4秒間息を止めます。これをまた3回繰り返します。
  4. 最後に、基本バージョンのサイクルを行い、それを3回繰り返します。

別バージョンの呼吸サイクルのイメージ

片鼻呼吸法

ここで紹介するのはヨガの伝統的な呼吸法です。ヨガの哲学では鼻から背骨のあたりに向かって2つのエネルギー流れがあると言われていて、それぞれ「イダー」「ピンガラ」と言います。そこから、左右両方の鼻でバランスよく呼吸をすることで、身体全体のバランスとエネルギーの質を整えることができると考えられています。この呼吸法の目的は、左右両方の鼻腔のバランスを意識することと、呼吸を落ち着かせ上気道に癒しのエネルギーを送ることです。

使うのは、右手の親指、薬指、小指です。人差し指と中指は付けて折り、手のひらに近づけて休ませるか、眉と眉の間を軽く押して「ムドラー」を作ってもいいでしょう。

  1. 楽な姿勢で座り、肺がすっかり空になるまで息を吐きます。
  2. 親指で右の鼻をふさぎ、左の鼻からゆっくりと息を吸います。息を吸い終わるときに、薬指と小指で左の鼻を押しながら、親指をゆっくりと離します。
  3. 右の鼻から息を吐き、そのまま右の鼻から息を吸います。
  4. 息を吸いきったら、親指で右の鼻を優しくふさぎ左の鼻からゆっくりと息を吐きます。これが1回のサイクルです。

始めたばかりの人は呼吸を長さは気にせずに、このサイクルを10回ほど行ってみてください。目を閉じてもいいでしょう。1日の終わり頃か、心を落ち着かせたい時にするのがお勧めです。体と心が落ち着き、両方の呼吸器官を意識しながら呼吸をすることができるようになります。

(※ 左利きの人や、左手の方がやりやすいと感じる人は、手を逆にして同じ手順で行ってください。)


4-7-8呼吸法

 
この呼吸法は筆者のお気に入りで、眠れない夜は何度も助けられました。基本のやり方は、4秒で息を吸い、7秒間息を止め、8秒で息を吐きます。パターンを覚えるまで何回か練習が必要ですが、根気よく続けることで体が自然にそのリズムに慣れてきます。この呼吸法の科学的な理論は、酸素の血中濃度が上がり、より短い時間で深い呼吸ができるということ。口すぼめ呼吸法に似ていて、息を吐く時間が長くなることで、身体をリラックスさせ、心を落ち着かせてくれます。効果を実感するために、サイクルを8回から10回ほど行ってください。睡眠の質を上げたい人は回数を増やし、その効果を確かめてみてください。


おまけ: アヌローマヴィローマ

かつて片鼻呼吸法は、「アヌローマヴィローマ」や「ナディショーダナ」と呼ばれていました。ですが、アヌローマヴィローマ呼吸法は呼吸の長さが異なります。これは先に紹介した片鼻呼吸法と4-7-8呼吸法(それかボックス呼吸法)を合わせたようなものです。すでにいくつかの呼吸法を試し、慣れている人は片鼻呼吸法の吸って、止めて、吐いてのパターンを1:4:2の割合のサイクルで行ってみてください。具体的に言うと、息を2秒で吸ったら、8秒間止めて、4秒で吐きます。詳しい手順は以下で説明します。

  1. 右手の親指で右の鼻をやさしくふさぎ、左の鼻から2秒で息を吸います。その後8秒間息を止めますが、左の鼻はふさいでも、開いたままでも構いません。
  2. 右手の親指を離し、4秒で右の鼻から息を吐きます。そのまま右の鼻から2秒で息を吸います。
  3. 8秒間息を止め、左の鼻から指を離し4秒で息を吐きます。これが1回のサイクルです。

息を止めている時間を長くすることで、酸素を運ぶ血液の働きをより効果的にしています。

いかがでしたか?今回紹介した呼吸法を試してみてください。慣れてきましたか?リラックスした気分になり、心が落ち着きましたか?。ぜひ感想を聞かせてくださいね。

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