睡眠の質を上げる音楽の作用と選び方

日本人の5人に1人が「睡眠」に関する何らかの問題を抱えているといわれている現代。

「夜の寝つきが悪い」「眠りが浅くて何度も目が覚めてしまう」「よく眠れない」「寝ているがスッキリしない」そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

快適な睡眠を得られない原因は、人によって様々です。

快眠のために温かい飲み物を飲んだり、寝具を変える、アロマオイルを焚くなど、様々な方法がありますが、「音楽」も大きな解決法と言えます。

ヒーリングミュージックを聴くことで、長年の不眠症が改善したという事例も少なくありません。

快適な睡眠を得るために、音楽をどのように取り入れたらよいのか、また「音楽」と「睡眠」の関係についてお話します。

睡眠障害の原因

季節や環境によっても大きく左右される睡眠。

熱帯夜になかなか寝付けなかったり、赤ちゃんの鳴き声で起こされたりと、私たちは日々の生活の中で睡眠を妨げられる原因は様々あります。

代表的な睡眠障害についてご紹介します。

  1. 心理的な要因

最も大きい睡眠障害の原因として、何らかの精神的ストレスを感じている場合があります。

例えば、家族や友人の死に直面する、仕事上でトラブルを抱えている、家庭内も問題を抱えている場合など不眠症状が出やすくなります。また、自分では自覚がない場合でもプレッシャーや不安感が強い時なども睡眠に影響が出やすいと言えます。例えば翌日に大きなプレゼンテーションが控えているときや、テレビやインターネットによって不安な情報を見た時、恐怖映像やショッキングな出来事に遭遇した時なども睡眠の質が低下する場合があります。

  1. 身体的な要因

身体の不調や病気、怪我によっても不眠を生じる原因となります。

例えば外傷やリウマチなどの痛みを伴う疾患がある時や、湿疹や蕁麻疹などのかゆみを伴う場合です。また、喘息の発作や頻尿、花粉症なども睡眠障害となりやすいでしょう。

身体的な要因の場合は、その症状が改善すれば、不眠も解消する場合があります。

  1. 精神医学的な要因

精神疾患や神経系の病気を患った場合、不眠の症状が現れることは少なくありません。中でも不眠になりやすい症状として、抑うつや不安症の場合です。

現代病と言える抗うつですが、ホルモンバランスの変化によって引き起こされることも少なくありません。女性の場合は閉経前の更年期の時期や出産直後や妊娠期も、うつ病が発症しやすい傾向があります。これまで楽しかったことが楽しめなかったり、急に不安感が押し寄せてきたり、気分が落ち込んだ時期が長く続く場合は注意が必要です。また、慢性的な不眠症を患っている人の3分の1もしくは半数が、何かしらの精神医学的な疾患を持っているとも言われています。

  1. 薬理学的な要因

病気や怪我で服用している薬や、アルコール、カフェイン、ニコチンが原因で睡眠障害を発症するケースもあります。

代表的な薬としては、抗がん剤、自律神経や中枢神経に働く薬、ステロイドなどが挙げられます。

また、アルコールやカフェイン、ニコチンの過剰摂取により、睡眠の妨げになる場合もあります。栄養ドリンク剤も意外とカフェインを多く含まれますので、過剰摂取には充分に注意しましょう。

  1. 生理学的な要因

日常の生活習慣や環境により、睡眠障害となる場合もあります。

例えば海外旅行や出張による時差ボケや、昼夜逆転した生活を送ることが不眠の引き金となります。急激なライフスタイルの変化により、眠ろうとする機能が低下したり睡眠の機会を逃してしまうことがあります。夜勤勤務のシフトで勤務する人も、慢性的な不眠となりやすいので睡眠導入のための対策を考えるのも良いでしょう。

音楽と睡眠の関係

こうした不眠の症状を改善するために、就寝前に心身をリラックスモードに切り替えることが重要です。

健康な状態というのは、日中は活動モードである交感神経が優位に働いている状態で、夜はリラックスモードである副交感神経を優位に働かせることです。2つの神経を司る自律神経のバランスが崩れてしまうと、この活動モードとリラックスモードの切り替えが上手に行えず、夜になっても休息状態になることが出来なくなってしまいます。

そのためには、夜は脳を休ませることが重要で、その手段として音楽がとても有効とされています。

脳がリラックスモードになると、脳波で「α派」というのが優位となります。睡眠に効果的なヒーリング音楽にはα派に導く効果が立証されており、就寝前に聴くことによって快眠を実現することが期待できるのです。

音楽による3つの作用

音楽には主に3つの作用があると言われています。

①心理的な作用

心地よい音楽を聴くと気分が穏やかになったり、素晴らしい音楽を聴くと心揺さぶる感動体験を経験したりと、感情や記憶に直接働きかける効果があります。

懐かしい曲を聴くだけで当時の記憶を呼び覚まし、心温まる体験したことがある方も多いのではないでしょうか。

②社会的な作用

校歌や応援歌など、みんなで歌う歌は、人と人をつなげ団結力を高める効果があります。

初めてあった人でも、共に歌うことで距離が縮まったり、一体感を得ることがでるという経験をされた方も多いのではないでしょうか。

③生理的な作用

近年注目される作用の1つで、周波数や音階によって身体に働きかけてくれる効果があります。その特性を医療で活かした考え方を「音楽療法」と言い、不調の改善や予防に役立てています。

音と背骨の関係性

音楽の生理的な作用として、音の持つ振動が背骨に反響すると言われています。

背骨は生命活動の中枢でもある自律神経と密接な関りがあり、活動モードである交感神経と休息モードである副交感神経を司っています。

高い音は延髄近くに反響し、低い音は仙椎近くに反響すると言われています。

交感神経を多く含む胸椎や腰椎には約250Hz~2000Hzの音が有効で、逆に副交感神経を多く含む延髄には約4000Hz以上の高音が響くと言われています。

高い音で頭がキーンとしたり、逆に低い音がお腹に響くのは、このためです。

睡眠におすすめの音楽

音楽が自律神経や脳波に大きな影響を与えることは明らかになりましたが、具体的に睡眠時はどのような音楽が有効なのでしょうか。まとめてみました。

①自然音が入ったヒーリングミュージック

川のせせらぎや波の音、鳥の鳴き声や木々のさざめく音といった自然界の音には「1/fゆらぎ」と言われる癒しのリズムを発している言われています。この「1/fゆらぎ」とヒーリング音楽が共鳴することで脳波がα波の状態になり、心身をリラックスさせる効果があるといわれています。

②オルゴールの音

オルゴールの音程やリズムは、自律神経が整い、リラックスする効果が高いと言われています。オルゴールの持つ周波数は幅広く、五感を刺激し、血行を促進する効果があると言われています。脳の働きを正常にして、睡眠の質を向上させるのは勿論のこと、肩こりや腰痛、頭痛や冷え性といった身体の不調を改善へと導きます。

③4000Hz以上の音楽

快眠を実現するためには、4000Hz以上の高周波音を含む音楽が効果的です。

単調でゆったりとしたリズムの音楽は、脳をリラックスさせ、α派を発生させやすくなります。また、快眠を得るためには一定のリズムを保つことがポイントで、心身を安定させる効果があります。

④歌詞が入っていない音楽

歌詞のある曲は、歌詞の内容に意識が向いてしまうため、脳がリラックスモードにシフトしにくくなります。

ストレス発散や気分転換をしたい時に、歌詞のある曲は有効ですが、睡眠時の音楽は歌詞の入っていないインストルメンタルの曲がおすすめです。

睡眠に適さない音楽

音楽は、質の高い睡眠を手に入れるために有効と言われていますが、選曲を誤るとかえって睡眠の妨げとなってしまいます。

質の良い睡眠を実現するために、脳をリラックスさせることが重要です。そのため、脳を活性化させるような音楽を選曲すると、眠りが浅くなったり、なかなか寝付けなっかりと睡眠障害の原因になってしまいます。

脳の働きを活性化する音楽とは、テンポの早い曲や激しい音楽です。また、歌詞のある曲も脳を活性化させる要因となりますので、避けたほうがよいでしょう。

また、睡眠時に音楽を聴く場合、イヤホンの使用には注意が必要です。そのまま眠りについてしまった場合、長時間のイヤホンの使用は「イヤホン難聴」や「ヘッドフォン難聴」の原因となります。特に大きな音で音楽を聴く際は注意が必要でしょう。

睡眠前にイヤホンを使用する場合は、なるべく小さな音量で、また入眠のタイミングでタイマーが切れるように設定しておくことがおすすめです。

その他の不眠の改善法

質の高い睡眠を得るためには音楽は有効ですが、音楽以外で不眠症を改善するためのポイントをご紹介します。

  1. 就寝・起床時間を一定にする

睡眠の覚醒は体内時計で調整されています。夜更かしをする日があったり、週末は朝寝坊でお昼ごろまで寝ているような生活をしていると、体内時計が乱れてしまい、睡眠障害を引き起こす要因となってしまいます。休日もいつも通りの時間に起床することを心がけましょう。

  1. 睡眠時間にこだわらない

睡眠時間には個人差があり、それぞれ快眠と感じる時間が変わります。「〇〇時間以上寝なければならない」と決めてしまうと、かえってそれがストレスとなり、脳がリラックスすることができません。周りと睡眠時間が違っていても、熟睡して前日の疲労感が残っていないようならば気にしないようにしましょう。また、昼寝に関しては午後3時前までに、30分以内を目安にとるようにしましょう。

  1. 太陽を浴びる

太陽光などの強い光は、体内時計をリセットする働きがあります。強い光を浴びてから14時間後以降に眠気が生じてくるため、早朝に太陽の光を浴びれば寝つきの時間も早くなります。できるだけ、朝太陽の光を浴びるようにしましょう。また、逆に夜に強い照明を浴びすぎると体内時計が遅れて早起きが辛くなるので注意が必要です。

  1. 適度な運動をする

適度な筋肉疲労は、心地よい眠りを生み出してくれます。不眠解消のための運動は、午前より午後行うほうが良いでしょう。また、激しい運動は刺激となり、寝つきを悪くしてしまうので、負担の少ない程度の有酸素運動がおすすめです。

  1. 自分流のストレス解消法を見つける

ストレスは、睡眠障害の一番の大敵です。そのため、読書やスポーツ、旅行など自分の好きな趣味を見つけておくことは大切です。上手に気分転換をしてストレスフリーを目指しましょう。

  1. 快適な寝室づくりをする

眠りやすい環境づくりも大切です。布団や枕、照明は自分に合ったものを選びましょう。寝室の温度や湿度も重要で、睡眠に最適な温度は20℃前後、湿度は40%‐70%が理想です。また、寝起きに首や肩が凝っていて倦怠感を感じる場合は、枕を慎重に選びましょう。敷布団と首の角度が約5度、頸部のすきまの深さが1~6㎝が理想と言われています。気になる方はプロに相談してみましょう。

睡眠に音楽を活用して質の良い睡眠を手に入れよう!

いかがでしたか?

現代病とも言える睡眠障害ですが、慢性化してしまうと大きな病気や疾患の原因となることがあります。

時間に追われて、寝る直前まで携帯やパソコンといった情報ツールを活用している方は、ご自身の睡眠の質を見直して見ることは重要です。

睡眠に悩みや問題を抱えている方は、是非、音楽を活用してみてください。

質の高い睡眠習慣を手に入れて、健康で快適な毎日を手に入れましょう。

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