瞑想のメカニズムーストレスと瞑想ー

近年、瞑想がもたらすリラックス効果やマインドフルネスがストレスに与える影響について、広く知られるようになりました。皆さんの中にも、ストレス解消やリフレッシュ法として、日頃からマインドフル瞑想を取り入れているという方もいることでしょう。ですが、そもそもなぜ瞑想をするだけでストレス低減につながるのでしょうか?言われてみると分かりそうで分からない、瞑想とストレスの関係性についてご紹介します。

ストレス:ストレスを感じたとき、何が起こるのか?

瞑想とストレスの関係について考える前に、まずはストレスとは何か、そしてストレスが体にどのような影響を与えるかご説明しましょう。ストレス反応は、太古から人間に備わっている防衛本能です。人が恐怖や不安、苛立ちなどを感じると、脳は興奮状態となり、「恐怖や不安に対処せよ」という指令を出し始めます。これがストレス反応の引き金です。この時私たちは “ファイト・オア・フライト” 、つまり「戦うか逃げるか」モードになります。その結果、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールやアドレナリンが分泌され、血流に乗って全身を駆け巡ります。心拍数や血圧、血糖値が上がり、いわゆる「心臓がドキドキする」状態になるのはこの影響ですその他にも、免疫システムが抑制される、呼吸が速くなり、消化管への血液供給が減ってしまう、といった変化が生じます。ストレスが一時的なものである場合、こういった体の反応が大きな問題になることはありません。むしろ、適度なストレスは、私たちの集中力やパフォーマンスを高め、ストレス要因を克服するのに役立ちます。

しかし、ストレスが長期的かつ慢性的に起こると、体に支障をきたす場合があります。日常的にコルチゾールやアドレナリンの分泌が活発になると、体では過覚醒状態が続くこととなり、心臓の病気や高血圧、偏頭痛や糖尿病といった深刻な健康被害へと繋がるのです。

瞑想のストレス低減効果

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過覚醒状態を止め、脳や体の疲労回復を図るためには、瞑想はとても効果的です。意識的に日常に溢れるストレッサーから離れ、静かで落ち着いたニュートラルな状態へとリセットすることができます。瞑想と聞くと難解なイメージがあるかもしれませんが、そのやり方はとてもシンプルです。まずは呼吸に集中します。自然に呼吸をしながら、その状態を静かに見つめ、自分のなかに現れる思いや考えを注意深く観察してみましょう。この時、特に強い思いや考えを探したり、どれか一つにこだわったりすることなく、今あるもの全てをありのままに受け入れ、流していく感覚を持ちましょう。心にずっと引っかかっている思いに気づき、感情と自分を繋いでいるフックを外していきます。また、地面に触れている足裏の感覚や空気の温度、その空間のにおいなどを五感を使って感じるのも瞑想です。。

このように、ただ「今この瞬間」に焦点を当てることで、脳に “ここは安全です。静かに落ち着く準備が整っていますよ” というシグナルを送ることができます。このシグナルを受け取ると、脳はだんだんと落ち着きを取り戻し、身体にも同じように “リラックスしていいですよ” と指令を出します。その結果、心拍や血圧が整い、呼吸もゆったりと深くなっていくのです。脳や体にかかっていた過剰なストレス負荷が減ることによって、本来の機能を発揮し、健康状態を引き上げてくれます。

瞑想を習慣づける:「継続」がカギ

瞑想は、ワークアウトのようなもの。最初は、ランニングマシンで数分しか走れなかったのが、毎日ジムに通ってトレーニングを続けるうちに、体が強くなり長い時間でも息切れぜずに走れるようになりますよね。瞑想もこの仕組みと同じです。体の筋肉を鍛えるのが筋トレならば、瞑想は脳の柔軟性を高める「脳トレ」と呼べるでしょうか。日常的に瞑想を実践していくと、困難に直面しても簡単に折れないしなやかな心が手に入り、ポジティブな感情や思いを維持できるようになるのです。

天然のムードスタビライザー

現代人は忙しい毎日を生きています。こうした暮らしの中で、幸か不幸か、私たちは知らず知らずのうちに自分の限界を押し上げることが得意になりました。自分の欲求やニーズよりも、世間の求める、半ば非現実的な理想像に近づこうと、日々奮闘しています。自分のことをいつも二の次に考える癖がつくと、悩む必要のないあ壁にぶつかったり、感情やエネルギー、モチベーションを無駄遣いしたりしてしまいます。さらに不幸なことに、「仕事力=人間力」「忙しくない人生なんてつまらない」「寝るのは死んでから」といったような言葉が表すように、まるで、現代の私たちの文化は世間の理想や目標を追い求め、自分を追い込む生活を推奨しています。他人が描いた理想や、多すぎる情報やタスク処理に追われる日々を過ごすうちに、だんだんと私たちの心と体はバラバラになっていくのです。

日常的に瞑想をすることで、このような忙しない生活に意識的にブレーキをかけ、「私にとって本当に大切なものは何か」という軸で、日々の意思決定をすることができるようになります。瞑想は言い換えれば、あなた自身の本当の夢や目標、健康状態、ニーズに耳を傾け、自分に優しくなれる時間。瞑想をすること自体がセルフケアとなるのです。忙しい毎日の中で圧倒的に私たちに足りていないのは、自分と向き合い、自分を知ること。瞑想はもう一度自分とつながり、自分の心と体、生活の舵取りをする手助けをしてくれます。毎日の瞑想習慣は、内側から効く安定剤のような役割を果たすでしょう。

瞑想:良薬は口に苦し

ここで1つ覚えておいて欲しいのは、瞑想は苦痛や痛みを瞬時に取り払ってくれる特効薬ではないということです。瞑想に必要なもの、それは「忍耐力」と「継続力」です。瞑想とは、今まで光を当てたことのなかったような人生の様々な側面に目を向けるプロセスです。いつもやっていなかったことを始めるのですから、それなりに時間がかかります。慣れないうちは、効果を感じるどころか、何も変わっていないような気がしてフラストレーションを感じることもあるかもしれません。しかしよく効く薬ほど、苦いもの。コツは効果を求めないこと、気長に続けること、ただ実践することです。回数を重ねるうちに、確実にあなたは変わっていきます。瞑想をしている間だけでなく、普段の生活でも安定した精神状態を保ったり、より広い視野で客観的に物事を捉えることができるようになったりしますし、ネガティブな感情も飲み込まれることなくなります。このようなスキルを養うためにも、継続的な実践が瞑想にはとても大切なのです。

実践が深まれば深まるほど、瞑想をするたびに何か新しい発見が見つかるはずです。そして、自分と向き合い自分自身を見つめることで、一歩一歩、新たな自分に出会うことができるでしょう。継続的な瞑想実践の先にこそ、こうした学びをあなたの生き方や考え方に活かすチャンスがあるのです。

あなたが瞑想を学ぶ上で直面した1番の課題は何でしたか?

継続的な瞑想があなたにもたらした1番のメリットはなんですか?

Translator: Yumika Koyama 小山裕美香

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